こんにちは。セールスマーケティングライターの深山です。

「吸引力が変わらないただ1つの掃除機」

と聞いて、あなたは何を思い浮かべます?

たぶん、ほとんどの人が”ダイソン”を思い浮かべますよね?

さて、先日コピーライティングセミナーでこんな面白い話を聞いてきました。それは、”実はダイソンの吸引力は弱い”というもの。

「え、嘘でしょ!」

って思いますよね?

ま、結果を先に言ってしまうと”嘘”ではないんです。「吸引力が変わらない掃除機」というのは本当の話。でも、そこにはダイソンの巧みな広告戦略が隠されていたのです。

今回は、なぜダイソンは「吸引力が変わらないただ1つの掃除機」というポジションを取ることができたのか?そこにはどんなマーケティング戦略が隠されているのか?

そんなことを暴いていきたいと思います。

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ダイソンの吸引力は本当に変わらないのか?

ダイソンの吸引力は変わらないのか?という質問に対しては、「変わりません」と答えることができます。これは色々な専門業者がテストをしているので信用できる情報でしょう。

ただ、ここで間違えちゃいけないのは、

「吸引力は変わらないけど、吸引力が強いわけじゃない」

ということです。

※No4がダイソンです

実は、ダイソンの掃除機と他社の掃除機の吸引力の比較調査を国民生活センターが行ったことがあります。その当時はもしかすると…

「吸引力が強いって言うから買ったのに、全然、ゴミを吸い取らないじゃないか!どうなっているんだ!!」

なんてクレームが国民生活センターにたくさん寄せられたのかもしれませんね。

Dysonの吸引力は低い!?

この調査結果はとても面白いものになりました。

というのも、日本製の掃除機の紙パック式、サイクロン式などの掃除機は、一定のゴミの量を吸い込むと吸引力が低下するのに対して、ダイソンの吸引力は、ゴミを吸い込んでも吸引力はまったく変わりませんでした。

ただし、”低い吸引力”で。

そうなんです。

カンの鋭い方ならもう分かると思いますが、ダイソンの吸引力は、ゴミを吸い込んでもほぼ変わりません。

ですが、日本の掃除機と比べるとそもそもの吸引力が弱いのです。

「そんなの詐欺じゃないか!」

なんて思いました?

イヤイヤ、僕がこの話を聞いた時、素直に”うまい”と思いましたね。だって、吸引力が変わらないのは本当のことで、まったく嘘は言っていないわけです。

でも、吸引力だけを見れば、日本製の掃除機の方が明らかに高性能なわけです。だから、ダイソンは吸引力で勝負するのではなく、”吸引力の持続時間”をアピールポイントにしたというわけですね。

商品・サービスのポジショニング

ダイソンの掃除機は、吸引力が強いわけじゃありませんでした。日本製の掃除機でダイソンよりも吸引力が強いものはたくさんありました。というより、ほとんどの掃除機がダイソンを上回っていました。

そこで、ダイソンは考えました。

「ダイソンの強みは何だろうか…?」

と。それが…

「吸引力が変わらないただ1つの掃除機」

につながったわけです。

それを聞いた日本人は、コロッとダマされてしまいました(言葉が悪いのは勘弁してくださいね)。ダイソンの吸引力は決して強くないにも関わらず…

ダイソン=吸引力

という強固なイメージを植え付けられてしまったのです。

ダイソンからすれば”シメシメ”といった所でしょうか。

ここまでこの話を聞いたあなたが「騙された!」と思うかもしれません。でも、冷静に考えてください。ダイソンは決して嘘はついていません。

商品の見せ方を探す質問

だって、吸引力は下がらないわけですから。そうではなく、”商品の見せ方”を変えただけなのです。もし、あなたの商品・サービスがライバルに埋もれてしまっているのなら…もしくは、埋もれそうになっているのなら…

1.あなたは誰に、何を提供する専門家ですか?

2.あなたの業種業態に関して、ライバルよりも勝っていることは何ですか?

3.業種業態に関して一番だといえる市場はどこですか?

4.ライバルに買っている理由は何ですか?

という4つの質問をあなたの脳に投げかけてみてください。そうすれば、ライバルが「やられた!」と舌を巻くほどのポジショニングをGETできるでしょう。

ではでは。

追伸

実はこの話には後日談があります。

ダイソンの掃除機は吸引力が弱いから日本の掃除機よりも性能が劣るのか?というとそういうわけじゃありません。というのも、吸引力のテストは掃除機のヘッド部分を付けずに行うそうなんです。

ここがポイントです。

ダイソンと日本の掃除機の大きな違いがまさにヘッド部分にあります。ダイソンは吸い込み口と床の距離がとても違いそうです。吸い込み口と床の距離が近いということは、結果的に床のゴミを吸い取る力は強くなる、ということらしいです。

参考までに。